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2017年4月 2日 (日)

県立高校再編をめぐって

 昨年の今頃、こんな記事を書きましたが、1年経って県教委から「岐阜県立高等学校の活性化に関する検討まとめ」が出ました。数日前に新聞でも一部内容が報じられましたので、ご覧になった方もいらっしゃるでしょう。
 昨年の「岐阜県立高等学校活性化計画策定委員会『審議まとめ』」で、今後について直ちに話し合いを始めましょうという「グループ1」に入れられた10校。今年からいよいよ存廃を含めた動きが始まる(早い話がどこかと統合するとかいう話を進める)のかと思いきや、この1年間の意見聴取や、この春の入試の出願状況も踏まえて「様子見」ということになったようです。
 
これらの学校では、小規模であることの利点を生かし、少人数によるきめ細かな指導がなされている。また、その学校規模から、地域連携による教育活動が展開しやすく、地域を担う人材の育成など地域活性化への貢献が期待されている。そのため、地方創生の観点からも、当面は小規模校として学校を維持し、単独校としての活性化の一層の推進を図る。
 
 記憶が曖昧で認識違いかもしれませんが、前回の高校再編(統合によって大垣養老高や海津明誠高が誕生したときのもの)よりも、ずいぶん慎重に動いている気がします。再編が難しい(近隣に統合先の高校が見つけにくい)のと、地域に一つしか無い高校の消滅につながることから、性急に結論を出すわけにはいかなかったということでしょうか。「検討まとめ」にもこんな記述があります。
 
(前略)「審議まとめ」では、再編統合に関する一定の基準を設けた上で、その基準を満たさなかった場合の具体的な再編統合の方法を事前に示し、評価する必要性についても言及されている。
しかしながら、(中略)現段階においては、入学者数等といった一律の評価により再編統合の必要性を検討するのではなく、(中略)単独校としての活性化策を徹底的に議論し、実施していくことが必要であると考える。 
 
 地元の努力の成果でもあると思いますが、この地区で「グループ1」に入れられた不破高は、今年定員を満たす出願者を集めました(合格者数が定員-2だったため、第二次選抜は行われましたが)。その他のグループ1の各校の中にも、出願者を増やして定員をほぼ充足した状態となったところはいくつもあり、これも再編先延ばしの一つの理由付けになったのでしょう。
 ただし、子どもの数は今後も減り続けます。1学年1~2クラスの高校がさらに林立していつまでも存続するということは考えにくく、いずれ再編は避けられません。今年度からはグループ2の各高校(西濃地区では揖斐高、池田高、海津明誠高の3校)でも協議会を設けて「活性化策」を検討し始めるとのこと。今回出された「検討まとめ」には高校の入学定員をどう決めるかについて言及した部分もあり、グループ1、グループ2のいずれにも属さない高校も含め、将来的には再編に巻き込まれる可能性はあると見るべきでしょう。
 
○ 全県的な高校の活力や学力水準を維持、向上させるために、中心部と周辺部の高校の入学定員設定の考え方について検討する必要がある。
○ 職業系専門学科については、普通科との入学定員割合のバランスや、地域(学区)によっては、複数の専門学科併置校や柔軟な入学定員についても検討する必要がある。
○ 小規模化の進行が懸念される高校(グループ1、2)については、中学校卒業予定者数の減少を踏まえ、地域によっては、同一市郡内高校の役割を明確にした単独校としての在り方についての検討と、定員未充足状況が続く場合の対応について整理する必要がある。
 
 
 昨年の「審議まとめ」からすると、かなり軌道修正している印象です。
 今、確かに言えることは、来春はもちろん、再来年の春にどこかの高校が消えることは無さそうということですね。今の中学生が高校受験する際に、高校再編はまだ関係無い話になりそうだということです。
 
 ところで、この「検討まとめ」、高校再編以外にも見どころが満載です。こんな記述もあります。
 
今後の急激な生徒減少期を見据えた学校規模についての検討や、今後の活性化策の進捗状況に合わせ、生徒がより多様な選択肢の中から、進路希望に応じて、より主体的に高校の選択ができるよう、通学区域の在り方についても、検討する必要がある。
 
 これを素直に読めば、隣接学区も受験できるようになった今の学区制について、さらに緩和する方向はあっても、再び閉じる(学区外受験を認めない)方向に進むことは無さそうな感じです(出された意見の中には「学区外への生徒の流出を避けるためにやめてほしい」という提案もあったんですが)
 
 昨年の「審議まとめ」で、「大垣北高あたりに導入したらどうよ」(雑な意訳)と書かれた国際バカロレアコースについては、こんな記述が。
 
現時点では、県立高校活性化の方策として、DP(16~19歳)コースの導入を優先的に進めるのではなく、今後の状況変化を注視しながら、MYP(11~16歳)との関連性も含めて、継続して検討する必要がある。
 
 事実上「待った」がかかった感じなのでしょうか。ここから先はちょっと文体が汚くなりますが、まあねえ、隣接学区も受験できるなんて制度にしちゃって、西濃地区から岐阜高校へ優秀な生徒をがんがん吸い上げた結果、過去の栄光(?)と現状の狭間で大垣北を苦しめておいて(「隣接学区」が一番たくさんあるのは岐阜学区なんですよ。この制度は岐阜高校一人勝ちのための制度と言っても過言では無いでしょ)、「大垣北高の活性化」は無いわな、などとOBとしては思ったものですよ、正直なところ。結局のところ、バカロレアはこの長閑な田舎ではあまりにも唐突な提案だったということでしょう。コースを設けるほどのニーズがあるようには思えませんから、活性化どころか、学校運営上のお荷物を抱える恐れもあったと思いますよ。
 
 これに関連しては「検討まとめ」に、データとともにこんな記述が。
 
「県立高校における進学指導の強化事業」として、近年減少傾向にある、いわゆる難関大学への県立高校からの合格者数の増加を図るため、普通科高校を中心に、県教育委員会が主体となり、生徒の学力向上や教師の進学指導力向上を推進する。
 
 現行制度になる前、特色化選抜のときも隣接学区の受験は認められていたため、当時から岐阜学区への生徒の流出は始まっていました。つまり、岐阜高校にはもう10年ぐらい優秀な生徒を集める「チャンス」が与えられてきたわけです。その結果、県全体の難関大学合格者が増えたのか、増えていません。むしろ減っている。「中学卒業段階で頭の良さそうな子を特定の高校に集中させたら、生徒も切磋琢磨するし先生も集中的に指導できるから進学実績が上がる」という路線は、失敗しているのではないかと思います。ここから再び文体が汚くなりますが、これねえ、大学もそうでしょ。国が指定した特定の大学のハイレベルな研究を重点的に支援するって話が、日本全体の大学の研究レベルを下げる結果につながってるっていうね。次元が全然違いますが、高校の教育も同じじゃないですかね。確かに学校群制度のような平準化は極端すぎて停滞を招きましたがね、岐阜高や大垣北高、関高、可児高や多治見北高など、各学区のトップの進学校がしのぎを削っていた時代の方が、「難関大学への進学実績」とやらも県全体としてはマシだったということではないんですか。トップクラスの優秀な生徒が同級生にいれば、その1ランク下のレベルの生徒も刺激を受けますからね。岐阜高ばかりに優秀な生徒を集めようとすれば、他校はトップ層を失ったというだけにとどまらず、それに刺激を受ける第2グループの停滞も招くんですよ。他方、岐阜高は集めた生徒に見合った実績を上げていないわけですから(単純な足し算じゃ駄目なんですよ、「相乗効果」を期待していたはずですからね)、県内全体では当然こうなりますよね。ただまあ、県教委は(先ほども述べたように)学区制の厳格化には舵を切りそうにないのですが。
 
 話がやや横にそれてしまいましたが、高校再編、少し時間がかかりそうですね。今後も注目して見ていきたいと思います。

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