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2017年6月23日 (金)

【2018年春入試】続・岐阜県公立高校入試の学区制全廃

 昨日の岐阜新聞朝刊の記事から始まって、夕方の地元テレビのニュース、そして今朝までに他の新聞社もすべて追随して学区制全廃を報道しました。まだ県教委から正式決定及び発表は出ていませんが、ここまでくれば「実は違います」となる可能性はゼロでしょう。
 
 今朝の中日新聞の記事から。
 
公立高入試の全県1区制、割れる反応
 
 この時期の制度変更について、県教委の担当者は「三者面談など進路指導が本格化する夏までのぎりぎりのタイミングだった」と説明する。(上記記事から)
 
 これ、結構重要なコメントですよ、県教委の担当者様。いちおう、この時期を「進路指導が本格化する夏までのぎりぎりのタイミング」だとお考えなんですね。昨日の記事でも書きましたが、じゃあ「各高校の入試概要」の発表が、その「ぎりぎりのタイミング」と考えられる時期を過ぎた毎年7月末に発表されているのは、いったいどうしてなんでしょうか。たとえば、独自枠を利用して受けようと思っていた高校の独自枠が、無くなったり基準や対象者が変わったりしたら、その生徒の進路プランはゼロから作り直しになりますが。自分が当てはまると思っていた条件の独自枠が無くなったところへ高校見学に行くなんて事態も、あり得るわけですよ。
 なお、昨日も書きましたように、今回の決定は、タイミングがどうこうという議論以前に、4月にいったん発表した概要の一部を取り消すことにもなっていますので、正式発表の際には是非その辺りも丁寧にご説明いただきたいところです。記者会見があるのなら、新聞記者さんにその辺りもちゃんと質問していただければと存じます。まあ、4月のあれは正式文書でないとか、入試の要項が出るまでは正式には何も決まっていないようなものだから「ひっくり返した」わけではないとか、そんな言い訳が予想されますが。
 
 今月中に学区ごとに中学校長を対象にした説明会を開き、理解を求める考えだ。
・・・・・・
 高山市内の中学校長は「初めて聞いた話。県教委からの正式な説明は受けていない」と困惑した様子。
(いずれも上記記事から)
 
 この記事を読んで「校長先生が理解しても、校長先生が高校受験するわけではありませんからね」なんて話をしていたんですが(苦笑)、その校長先生でさえ困惑していたら、こちらもさらに困ってしまいますよね。
 
 名古屋市にも近い多治見北高(多治見市)の担当者は「親元を離れてまで進学したいという子は少ないのではないか。愛知県の有名私立高校との競合の方が課題」と冷静に受け止める。
 
  今回、岐阜地区へ新たに受験ができるようになるのが、今まで岐阜学区の「隣接学区」ではなかった、東濃と飛騨。飛騨からの通学は現実的にはあまり考えられず(下宿すれば別でしょうが)、可能性があるのは東濃地区から岐阜高校への進学者。確かに通学は容易ではありませんが、無理ということもありません。それこそ「愛知県の有名私立高校」よりはやや不便かなという程度のこと。この多治見北高の担当者氏のコメントの後半部分が、今回の変更のねらいに関して、その核心を突いているかもしれない内容になっていることが、実に興味深いです。
 といっても、それは人数で考えれば本当にごく限られた人数でしょう。蓋を開けてみたら(ゼロということはたぶんないでしょうが)ほんの数人だけのことかもしれません。ということで、これだけで岐阜市内の高校受験事情に影響が出るかというと、見た目にはほとんど分からない程度でしょう。ただ、公立高校入試は2倍、3倍という倍率で競っているわけではありません。例年、出願変更期間ともなれば「何人オーバー」という数字を見ながら、1人増えた、2人減ったというレベルに注目が集まっているわけです。そう考えると影響が全くのゼロだとも言えません。
 
 さらにいえば、(むしろここからが本質的な話なのかもしれませんが)、「学区がはじめから無い」ことに伴う「心理的な壁の撤廃」という要素も、私は見逃せません。これは来春すぐに現れる効果というよりも、その先、数年経ってみないと分からない話ですが、旧学区(もう無くなるのですから、旧ですね)というものを意識しない高校受験が普通になってくれば、今よりもさらに受験生の流動性が高まる、つまり他地区への受験が増えるかもしれないという、これは一つの推測です。
 確かに、今までも「隣接学区」は受験できました。しかし、それは学区を維持した上でのことでしたから、受け取りようによっては「例外的」な受験にも感じられます。つまり、大垣市内の多くの中学生にとっては、岐阜学区の高校「も」受験できる(らしいよ)という程度の感覚であって、あくまでも西濃学区の高校への進学がメインストリームだったわけです。それが、学区制廃止後の世界では、そもそも「学区」やその境界線自体が存在しないわけですから、岐阜市にある高校であろうが、大垣市にある高校であろうが、位置的な問題は「近いか遠いか」というだけのことになり、「地区の内か外か」とか「地元に残るか、よそに出ていくか」という感覚は、ほとんど無くなります。
 よく分からない話だという人もいるでしょうが、その「境界線がない」受験は、今も存在しています。たとえば私立高校。現在も、大垣市内から岐阜市内の私立高校へ進学する生徒は結構います。また、公立高校でも専門学科(商業・工業・総合など)の場合には、やはり岐阜方面へ進学している生徒が少なからずいます。彼らにとって「学区」はもともと関係ありません。受験したときにも「少し遠い学校に行く」という感覚はあっても、「よそに出ていく」感覚などあまり無かったはずです。公立高校普通科の進路選択も、学区制がないことが当然の景色となる数年後には、そういう感覚での進路選択が普通になるかもしれないということです。そうなれば、今よりも多くの生徒が結果的に「(旧)隣接学区」へと流れることになって・・・。東濃や飛騨から岐阜市内の高校を目指す生徒が何人出るのかという話よりも、こちらの方が実は大きいかもしれないという話です。これはあくまでも、数年先の予想です。無い知恵絞って出してみた一つの考えですから、そうなるという保障も全くありません。読み流してくだされば幸いです。
 
 それにしても落ち着きませんね。特色化選抜が廃止されてまだ5年しか経っていないというのに、入試制度や高校再編・学科改組など、高校受験をめぐる話は、来年以後もまだまだいろいろ出てきそうです。今回の一件で、県教委の公式発表がいかに軽いものであるか、よく分かりましたが(苦笑)、今後もめげずに注意深く観察し続けていきたいと思います。

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