来春(2020年春・令和2年度)の岐阜県公立高校入試の変更点・学科再編など
岐阜県教委が、来春(2020年春・令和2年度)の岐阜県公立高校入試の日程その他を発表した件の続きです。(なお「平成32年度」という言い方は県教委の今回発表資料にあわせたものです。来月以降は「令和2年度」という表記になるんでしょうね)
日程については前の記事で書きましたので、ここではそれ以外の発表内容について。
4つほど大きな変更を発表をしています(前半部分は前の記事と重なっている内容も結構ありますがご容赦ください)。
1)第一次選抜に「追検査」を導入し、インフルエンザにかかった受験生などに対応すること。
これについては前の記事でも書きました。
今まではインフルエンザにかかった生徒でも入試当日とにかく受けに行かなければ合格はできなかったわけですが(別室で受験)、来春から別の日に受けることができるようになったわけです。
なお、当日に別室で受験するという今まで通りの選択肢も残されていますので、インフルエンザにかかった受験生はどちらかを選択することになります。
追検査の内容は「第一次選抜と同様」、つまり標準検査(学力検査や一部高校の面接など)を行うだけでなく、独自検査を受ける予定だった生徒は独自検査も追検査で実施するということになります。
来春の場合、3/10に第一次選抜、3/15に追検査、そして3/18に合格発表という流れです。
追検査の生徒も第一次選抜の受験生と同じように合否判定され、3/18の合格発表を待つことになります。
問題は難易度です。
本試験と追検査ではどちらが難しいのか。
他県での先行事例をみると、追試も本試験と同じような難易度で揃えようとしているようですが、岐阜県はどうするでしょう。
この点、明らかに追試験のほうが難しい大学入試センター試験とは異なる対応になるかもしれません。
ただし、県教委側の意図とは別に、作問者が完全に同一の難易度の問題を2種類揃えることは至難の業です。
毎年の入試でも教科ごとに見れば難易度が結構ぶれますからね(今年の数学は去年や一昨年よりも易しかった)。
ひょっとすると有利不利の問題は出るかもしれませんが、一回やってみないことには何とも言えません。
来春の入試後、追検査の問題も公開されるのでしょうから、当方としてはそれを待って研究するしかありませんね。
2)複数学科のある高校で第2志望・第3志望の選択幅を広げること。
この話、今までも高校内の学科を自由に第2志望(や第3志望)に書けた高校には関係の無い話です。
西濃地区・岐阜地区で具体的に言うと、
大垣東、大垣商業、大垣工業、大垣桜、岐山、県岐商、市岐商、岐阜工業、岐南工業、岐阜農林は今まで通りです。
これまで同様、第2志望(や第3志望)を自由に選べます。
今回の変更で関係がある高校は西濃地区・岐阜地区で具体的に言うと
大垣養老、揖斐、海津明誠、岐阜城北、岐阜各務野です。
これらの高校、来春からは同じ高校の別の学科をどれでも第2志望・第3志望として書くことができるようになります。
加納高校も今回の変更に関係がありますが、ちょっと違う点があるので最後に回します。
以下、西濃地区・岐阜地区の関係する各高校について個別に説明しました。
【大垣養老】
今までは農業科のどれかを志望する受験生が総合学科を第2志望(や第3志望)にしたり、総合学科志望の子が農業科のどれかを第2志望(や第3志望)にすることはできませんでした。だから総合学科が定員割れをしていても、農業科を受験した子がまわってきて合格するということはなかったわけです(今までは)。
来年からはそれができるようになります。
総合学科→農業科という合格や、農業科→総合学科という合格があり得るようになるわけです。(受験生が第2志望・第3志望を書いていればの話ですが)
【揖斐】
今まで完全に分けて募集していた(つまり第2志望が書けなかった)普通科と生活環境科の相互で第2志望が書けるようになります。今年のように生活環境科の人気が高い年は、生活環境科→普通科という合格パターンで救われる生徒も出るかもしれません。
【海津明誠】
今まではどの学科を受験しても第2志望は書けませんでしたが、来春からは全学科(普通科、生活福祉科、情報処理科の3つ)の間で第2志望(や第3志望)が書けるようになります。
【岐阜城北】
今まではどちらの学科を受験しても第2志望は書けませんでしたが、来春からは生活文化科と総合学科の相互で第2志望が書けるようになります。
【岐阜各務野】
今までもビジネス科と情報科の間ではお互いに第2志望が書けましたが、福祉科は完全に別で第2志望が書けませんでしたが、来春からは3つの学科の間で自由に第2志望(や第3志望)が書けるようになります。
【加納高校】
ここだけ他校とはやや違います。
今までは普通科、音楽科、美術科のどれを受験しても第2志望は書けませんでした。
来春からは音楽科と美術科の受験生だけが、普通科を第2志望に書けます。
つまり、加納高校普通科を志望する受験生は、今まで通り第2志望は書けません。
また音楽科と美術科の間でも第2志望は書けません。
つまり音楽科→普通科、美術科→普通科という2つの一方通行だけが許されるようになったわけです。
もっとも、現実にどの程度そういうパターンの合格が出るかと考えると…今年も高倍率で大変な人気だった普通科の現状を考えると、実際の入試においてはほとんど影響がない話かもしれませんね。
ここからはこちらの話で読み手のみなさんには関係の無い話ですが、こういう一方通行の第2志望だけが可能な場合に出願状況をどうまとめるか、悩ましいところです。
今のところ、加納高校だけは今まで通り各学科ごとに分けた出願状況だけを表に入れ、合計はしないつもりです。そのほうが実態に即していると考えられますので。
…これだけたくさん書いてから思ったのですが、
簡単にまとめると、来春(2020年春)からは
2つ以上の学科がある全公立高校の全学科で第2志望(や第3志望)が書けるようになった(ただし、加納高校は別)というだけの話ですね。
なんだか骨折り損だったかも(ここまで書くのに結構時間がかかってしまった)。
3)いくつかの高校で学科を改編すること。
前年に続き、来春もいくつかの高校が単位制に移行したり、2~3学科をまとめて学科群にして募集をする高校が増えたりします。
(ア)八百津(普通科)、瑞浪(普通科・生活産業科)、恵那(普通科・理数科)が単位制に移行します。
(イ)大垣養老と飛騨高山の農業科が3学科から2学科群(4学科)に改編されること。
食の農学科群(動物科学科+食品科学科)と緑の農学科群(園芸科学科+環境科学科)の2つで募集し、高校2年生からそれぞれの学科に分かれるようになります。
募集が学科群ごとになるだけでなく、学科の名称も変わっていますね。
学科群での募集は今春から岐阜工業が始めています。
同じような募集の仕方を農業科を持つ2つの高校(と次の項目で書く大垣工業)で始めるということです。
農業科の学科群イメージとしては、食の農学科群=動物(畜産)と食品加工、緑の農学科群=植物(稲や野菜・花・森林)栽培や環境系ということのようです(違っていたらどなたか指摘してください)。
(ウ)大垣工業が7学科から3学科群(7学科)+1学科に改編されること。
機械工学科群(機械工学科+電子機械工学科)、電気・電子工学科群(電気工学科+電子工学科+情報技術工学科)、建設工学科群(建築工学科+土木工学科)、化学技術工学科の4つにわけて募集し、学科群で入学した生徒は高校2年生からそれぞれの学科に分かれるようになります。
さりげなく学科の名称も変わっています(機械科→機械工学科のように、全学科が「○○工学科」で統一されました)。
あれ、どうして学科が増えたのかなと思ったら、建設工学科が建築工学科と土木工学科に分かれていますね(学科群としては一つなので、受験生にとっては影響が無さそうですが)。
県教委の文書によれば「学科群ごとの募集にすることで、柔軟な学科人数設定を可能にし、少子化に対応」するとのことです。
普通科や総合学科、さらには商業の定員も減ってきたここ何年もの間、工業だけは(細かく分かれた学科を維持するためでしょう)定員が減らされてこなかった流れがあります。
今後はそこにも手をつけていきますよという宣言に受け取れますが、来春ただちにそうなるか(つまり大垣工業の定員に手をつけるか)どうかは分かりません。
数年先まで見れば、手をつけることはほぼ避けられないと思いますが。
4)第二次選抜の学力検査から理科と社会をなくすこと。
これについては前の記事で書きました。
第二次選抜の話で、ほとんどの受験生にはあまり関係がありませんから、小さめの字で紹介しておきます。
なぜ、理科と社会をなくしたのかは説明がありませんが、来春から新たに第一次選抜の追試験(追検査)も作らなくてはならないため、第二次選抜の作問まで手が回らないのではないかなと勝手に想像しています。
そもそも、第二次選抜を実施する高校は定員割れしている高校ですから、基礎学力を見るという意味で国数英の3教科があればじゅうぶんだろうということかもしれません。
ただ、今春のように岐山高校の理数科が定員割れしちゃうこともありますからね。
岐山の理数科だったら第二次選抜で理科もやりたいんじゃないかなあ。
<追記>
今朝(2019/04/24朝)ほど、「匿名希望」さまからメールをいただきました。
上の記事の最後のほうに「瑞浪高校の『生活福祉科』の名前が『生活産業科』に変わっている?」という疑問を書いたのですが(現在は削除)、それについてのアドバイスです。
すごく簡単に書くと「それはお前の誤解では?」というご指摘です。
結論から書くと、
はい、確かにそのようでした(^^;)
大変お騒がせいたしました(_ _)
まず、私が誤解したのは県教委が発表したこの部分を見てのこと。
私はこれを見て「生活産業科」に変わったのかなと早合点したわけです。
で、これについてご指摘を受けた内容をもう少し詳しく紹介しますと
1)「生活産業科」というのは「工業科」「商業科」「農業科」というのと同じ大きな学科の括りの名前である。
2)「生活産業科」の中に「生活福祉科」がある。それは「農業科」の中に「園芸科学科」や「食品科学科」などがあるのと同じ構造。
3)瑞浪高校の「生活産業科」には「生活福祉科」1つしかないので、分かりにくい表現になっているだけ。
なるほど。
これで合点がいきました。
ありがとうございました。
つまり、
「瑞浪高校の学科名は何も変わらない。単位制に移行しただけ」
ということですね。
このサイト、以前も書きましたようにこの塾に全く興味関心がない方から(!)それなりのアクセスがありますから、事情をご存じの方、お詳しい方からこういうご指摘をいただけると、私個人やこの塾だけに限らず、私も知らない広く多くの方にとってもひじょうに助かります。
匿名希望さま、ありがとうございました。
というわけで、当該箇所は削除しておきました。
« 来春(2020年春・令和2年度)の岐阜県公立高校入試の日程その他が発表されました。 | トップページ | 【2020年春入試】岐阜県公立高校入試のスケジュール »